「うん」 私はそう返事をすると、カバンを肩に掛けた。 「…はい、靴」 玄関で理久が私の目の前に、靴を差し出してきた。 一週間前、初めて私が理久の家に来た時に履いていた靴だ。 「ありがと」 私はその靴を履くと、理久と一緒に家を出た。 「…あ、理久くん。今から、お出かけ?」 外を歩いていると後ろから声をかけられたので、私達は同時に振り返った。 そこには買い物袋を持った一人の女性が立っていた。