「…じゃ、この椅子に座って?」

曖昧に苦笑いした理久は、石鹸を手に取った。

「洗ってあげる。アッチ向いて」

そう言った理久は腕捲りをした。

…嘘でしょ…。

「良いよ!わざわざ悪い」

そんな私の反論もむなしく、理久は私の背中を洗い始めた。

「大丈夫、大丈夫」

「だ、大丈夫なんかじゃ…!!」

「もう。じっとしてってば」

「…っ」

私は唇を噛みしめながら、この場を必死に乗り過ごしたのだった。