「み~み」
下から覗き込んで、先輩はあたしを呼ぶ。
「ぅぅ~~、怖いよぉぉ」
もう、無理…。
「美々、目ぇ瞑ってろ」
「へ?」
先輩は、あたしの手を掴んだ。
「っ!せんぱっ…//」
「大丈夫。すぐ着くから」
「~~はい」

先輩の手は、とても大きく、温かかった。
さっきまで、怖くて怖くてたまらなかったの に…。
今、全然怖くない。
お化け役の人が出るたび、先輩はギュッと手に 力を込めてくれた。
まるで、“大丈夫”そう、言っている気がしたん だ。

―――先輩の手は、魔法の手だ。