あ、それより…

「あの、沙織先輩…。
もしかして…泣いたんで すか?」
「…え?」
「あっ、無神経なこと聞いて、スイマセン!た だ、頬が濡れてるし、ちょっと目が赤かったの で」
「うん…ちょっと、いろいろあって」
「大丈夫、ですか?」
「…うん」
「あの、ちょっと待っててくださいっ」
あたしはその場から立った。
「え、美々ちゃん!?」

水道のところへ行き、ハンカチを濡らして中庭 へと戻った。

「おまたせしました」
「どうかしたの?」
「あ、いえ。あの、よかったらこれで目、当て て下さい」
そう言ってあたしは濡らしたハンカチを渡し た。
「え、もしかして…わざわざ、濡らしてきてく れたの?」
「あ、はい!あ、迷惑でしたか??」
「ううん。ありがとう、美々ちゃん」
沙織先輩はあたしの手からハンカチを取った。