俺は沙織にハンカチを渡した。

「返さなくて、いいから」
「…ありがと」

微笑んだ沙織を見て、俺も微笑んだ。


「…玲央、頑張ってね」
「うん」

沙織は涙を拭きながら、 静かな廊下を歩いて行った。

―――ゴメンな、沙織。

ありがとう。