「樹里の荷物、持って行くからね。先生とおいで」


寺田が小さく頷いたのを見て俺らは教室に戻る


「2人とも何処行ってたんだよ。探したぞ」


あっ、勝真の存在忘れてた


冬華も俺と同じ顔をしていた


「はいはーい。席につけよ」


小牧が元気良く入って来た


「転校生を紹介する。入ってこい」


“転校生”と言った途端、静まり返った


緊張した面持ちで寺田が入ってきた


「うわっ。可愛い」


「お友達になれるかな?」


「彼女にしたい」


なんていう男女の会話が聞こえる


「自己紹介してな」


すると寺田はホワイトボードをこちらに向けた


《寺田樹里です。訳あって話せませんが宜しくお願いします》


と丁寧な文字で書いてあった