もうすぐだ。

もうすぐでこの電車が駅に着く。

冬の午後6時ともなると辺りは真っ暗で、窓ガラスには反射した車内が黒を背景に薄く映っている。

車内アナウンスが流れ始めて、わたしはマフラーの端を少しだけ引っ張った。

インディゴブルー、わたしのすきな色。

いろんな種類のチェック柄が敷き詰められていて、確かクレイジーチェックと云うんだそうで。

クレイジーって何よ、クレイジーって。

そんなどうでもいいことを心の中で呟きながら、深緑色の座席から立ち上がった。

膝に乗せていた鞄を肩にかけて、制服のスカートを整える。

ホーム側のドアに向かって一歩、二歩。

速度を緩める列車。

ひとつ、息をはく。

その瞬間が今日もやってくる。