さすがのハマチも、この時ばかりは無い目を見開いていた。
「ゴリ江、彼氏って…」
「すんごい優しいし」
あのゴリ江さんが、ほっぺを赤くしている。
「水分とったほうがいいから、イチゴを買ってきたよ。今、お母さんに切ってもらってる」
下足、初Voice。
あだ名に似合わず、爽快な声をしている。
「ありがとう。やっぱり、病人にもってくるお見舞いは、こうでなくちゃね」
「ゴリ江、全部食べたじゃない」
「うっさいわね。少しは下足を見習いなさいよ。ねー?下足」
「いや下足って…」
以前より少し、あだ名に愛着がこもってはいるが、改名したほうがいいのではないか?
だが、とうの下足はにこにこしている。
目のなくなり具合は、ハマチといい勝負
ではないか。
きっと嬉しいんだ。
親しみを込めて呼ばれることも、呼ぶほうも。
幸せなんだ。
よかったね。
よかった。



