語尾に逆らえないリズムを感じて、あたしはただ頷くしなかった。
ほっぺを、つままれたまま。
「ほんとやらかーい‼」
ぷにぷに、むにむに。
挙句にほっぺを両手で挟まれるのは、なにかが違うのではないか。
まん丸のほっぺをマシュマロと比喩されるのは構わない。
それが自慢であったりもする。
だが、顔全体がマシュマロとなると、話が、というより、キャラクターが違ってくる。
ゆるキャラになってしまう。
これには、いくら入学式で初対面とはいえ、抗議をしなくてはなるまい。
しかし。
厄介なもので、魔法の言葉というものがこの世に存在する。
「凄いカワイいー‼」
と言われれば、ゆるキャラでもよかろう。
甘んじよう。
あたし。
森尾美幸は、マシュマロみたくカワイい女子なのだ。



