史斗さんの後ろ姿を、何か深刻な顔で見ている壱斗。
なんかおかしい…
「壱、斗…?」
「…………」
「壱斗…ねぇ、壱斗…!」
「……ッ、ごめん、何?」
「準備できたよ?」
「え、あ、そっか!行こう」
何もないようなふりをして、笑う壱斗。
違う、ほんとの笑顔はそんなんじゃない。
どうしたの………?
「壱斗様、おはようございます」
「おはよう、斎藤」
久しぶりに見た斎藤さんは、相変わらず
「あ、いたんですか?目線の高さに合わないものは見えない性質なので」
ムカつきます………!!
「もう!相変わらず失礼な人ですね!」
「………あなただけにね」
む、ムカつくーー!!!
「……でも、少しだけ感謝してあげます」
「……へ?」
斎藤さんが、
私に、
感謝?!?!
「戻ってきてくださってありがとうございました」
「……ッ、」
「あなたがおられない時の壱斗様は見ていられなかった」
「ッ、もう離れません。すみませんでした」
「あなたの割には理解が早いですね」
くっ…!
やっぱりムカつく……!!
*

