泣きそうになって、窓の外を見る。
するとバチッて知らない人と目が合った。
その人は、私を見ると驚いた顔でこっちに向かってきた。
……え?何?
知ってる人だっけ?
え……………?
いつの間にか、その男の人は私の隣に立っていた。
茶色い髪を少し立たせた、今風の若い人。
たぶん20代前半ぐらいかな?
「君さ、」
やっぱり、知り合いなの?
「バイク事故の娘じゃない?1年半ぐらい前の」
………え?
もしかして。
あの日、助けてくれた人かな?
私がずっと、忘れられなかった人?
嘘……、会えた……
「助けてくれた人ですよね?」
「え……?」
「救急車が来るまで、私を抱き締めてくれてた人!」
「え、あ…うん。そうだよ」
「ずっと!会いたかったんです!」
「俺も」
ニコッて笑う、彼。
あぁ、かっこいいなぁ。
笑顔が優しくて、可愛くて。
また会えたなんて夢みたいだよ。
「名前、なんて言うんですか?」
「佐藤秀章。君は?」
「西川姫乃です!あ、座ってください」
「姫乃ちゃんね。失礼します」
それから他愛もない話でずっと盛り上がっていた。
オレンジジュースだけで粘る私達を、店員さんは少し迷惑そうに見ていたけれど
それさえも気にならないくらい楽しかった。
*

