「ここが今日から姫乃様のお住まいになる家です」
へ〜、ここが私の……って、もはや家じゃねぇ!!
これ、ヨーロッパからそのまま持ってきたお城じゃないのですか…?
「申し訳ありませんが…、帰りの車を用意していただけますか?」
こんなところで住めるわけないし!
今までの小さい小さい家で十分よ!!
「おっと、それはいけませんねぇ〜。あなたも今日から麻生家の一員なんですから」
「は、離して…!」
体の大きい男の人二人に両腕を掴まれ、家の中に引きずり込まれる。
なんか、囚われた宇宙人みたいだ……!
「離してやりなさい、二人とも」
後ろから聞こえた透き通った声に振り向く。
そこには黒髪で、眼鏡をかけた知的で美しい男の人が立っていた。
まさか、この人が壱斗様…?
「史斗様!しかし、姫乃様が帰りたいとおっしゃるので…」
史…斗様…?
あぁ、この人は壱斗様じゃないんだ。
「へぇ、この娘が姫乃…」
史斗様は、私の瞳を覗き込んできた。
てか、顔近ッ!!
それにこの人、なんか怖い……
「逃がすな。リビングに連れて行け」
「かしこまりました」
史斗様は、身を翻して、どこかへ行ってしまった。
てか、あの人ほんと怖かった…
なんか、人を人とも思ってないような、そんな感じ。
「今の方は次男の史斗様でございます。とても頭がよろしい方です」
へぇ……
あまり関わらないでおこう。
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