「んー!じゃ、二人で楽しもっか」
壱斗は立ち上がって伸びをした。
でも私はベンチに座ったまま放心状態。
耳からぷしゅーって湯気が出てるような、そんな感覚。
だって、だってまさか壱斗の口から“エッチ”なんて言葉が出るなんて。
壱斗も男の子なんだなー…って実感した。
いや、男の子なんだけどね?
なんか完璧すぎて……
壱斗の“健全な男子高校生”な部分が見れてちょっと嬉しい……
って、なんかもうよくわかんないよ!
「姫?」
「にゃーーー!」
いきなり顔を覗き込んできた壱斗の顔の近さに、
また湯気が出てるような感触。
「どんな声だよ」
「え、…アハハ」
「行こう?姫乃」
「あ、うん…!」
もう変なことは頭の中から追い出そう!
で、思う存分楽しむんだ。
初めての二人きりのデートを。
「手繋いでいい?」
「……!うん」
壱斗が私の手を取って
指が少しずつ絡まって行く。
……恋人繋ぎ。
ねぇ、壱斗。
耳真っ赤だよ?
どうしよう、私。すっごく幸せだ。
壱斗を想うと、心が温かくなるの。
これが“好き”ってことなのかな…?
ねぇ、壱斗………
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