「そんなにごしごし擦ると、赤くなっちゃうよ?」
壱斗の温かい手が頬を撫でる。
その手があまりにも優しくて…
止めたはずの涙がまた溢れ出した。
「ハハッ、また泣く〜…」
ねぇ、壱斗
どうしてここに?
どうしてそんなに優しいの?
聞きたいことはいっぱいあるの。
でもね……、優しいあなたと、もう少しだけ……
「姫乃?」
「んぅ、…うぇ」
「この間、『壱斗』って呼んでくれなくてすごくショックだった」
「………?」
「俺が姫乃を離したくせに、ほんと勝手だよな。……でも、気付いたんだ」
ねぇ、壱斗
私が自惚れる前に、はっきり言ってほしいの。
あなたが言おうとしていることは、私が望んでる言葉じゃないって。
ねぇ、壱斗……
「俺、姫乃じゃないとキスもできない。姫乃が傍にいないと、ちゃんと笑うこともできない。」
「壱、斗…」
「好きなんて言葉じゃ足りない。……愛してるんだ、姫乃を、心から」
ねぇ、私
また夢を見ているのかな?
だってさっきまでは
壱斗がこんなに近くで優しく微笑んでるなんて
想像もできなかったもの。
*

