「ヒドイ…」
美和さんは涙を流し始めた。
でも、俺は本来優しい男じゃないし
優しくしたいと思うのは彼女だけだし。
「ごめん、美和さん」
勝手に動き出す足が向かうところ。
それは、彼女が教えてくれた
向き合わなければいけない『過去』
入り口に向かう俺に、美和さんは叫んだ。
「こんなことしたら……、桐生と麻生は友好的な関係になれないわよ?!」
俺はフッと笑って振り向いた。
「それは、次期会長様と副会長様が何とかしてくれんじゃねーの?」
雅兄と史兄は、俺を見て笑った。
「当たり前」
「雅斗様をなめんじゃねーぞ」
俺はまた、前を見て歩き出す。
雅兄も史兄も、姫乃を好きなはずなのに……
ごめんな。ありがとう。
しばらく歩くと………いた。
俺の『過去』
親父に抱きついている。
「……何やってんの」
俺の声にハッとした二人は、急いで離れる。
そして女は俺に走り寄ってきた。
「壱斗、和斗さんが急に……!怖かった……!」
咲華さんは俺に抱きつく。
「……親父」
期待するような瞳を俺に向ける咲華さん。
俺はほんとに、バカだった。
「俺……美和さんとは結婚しない」
*

