感覚が、麻痺していた。
自分に何が一番『必要』か
誰が一番自分を『必要』としてくれているか
わからなくなっていた。
「壱斗さん、お食事に行きましょう?」
「あ、はい」
美和さんの問いかけに答えると、勉強していた机から離れて
美和さんのところへ向かった。
美和さんは俺の服の裾を引いて、目を瞑る。
……キスをねだる仕草。
「ご飯行きましょう。お腹空いた」
俺はいつもごまかして、それをなかったことにする。
……キスなんて、できるわけない。
キスをねだる仕草を可愛いとも思えない
キスをしたいとも思えない
こんな状況で、キスなんて、できるわけない。
リビングに行くと、俺以外の兄弟はもう揃っていた。
「食おうぜ」
雅兄の静かな声が響き、俺たちは食事を始める。
そういえば、雅兄がこの食卓にいるのは久しぶりな気がする。
ずっと、姫乃と一緒にいたんだろうな……
なのに、なんで今日はここにいるんだろう。
俺の視線に気付いたのか、雅兄はこっちを見た。
お互いの視線が絡む。
*

