温かいよ……
少し腕の力が緩んだかと思うと、激しいキスをされた。
「んっ、あ…」
いつもの壱斗のキスじゃない…
激しくて、頭がクラクラする
「ふぁ…んぅ…」
でも、心地いい…
しばらくして、壱斗は唇を離すとまたギュッて抱き締めた。
「…姫乃」
「ん?」
「姫乃だよな?」
「そうだよ?」
壱斗……?
「なんでだよ……」
壱斗はなにか呟いたけれど、私にはなにも聞こえなかった。
……チャイムの音にかき消されて。
「授業、始まっちゃうね…」
「うん、行きな?」
壱斗は私を解放するとそう言った。
「壱斗は……?」
「俺は、もうちょっとしてから行く」
「そっか……」
この時
壱斗を一人にしなければよかったんだ。
ちゃんと、壱斗の話を聞いてれば…
姫乃が屋上を出た後
壱斗は一人呟いた。
「なんで姫乃から……雅兄の匂いがすんだよ……」
『ちゃんと男除けもしといたし』
感覚が、麻痺していた。
何が一番『必要』か
誰が一番自分を『必要』としてくれるか
全部、わからなくなっていた……
*

