「さみぃ…」
ホテルを出ると、雪がちらほら。
寒い、けど…帰りたくねぇな…
そう思った俺は、近くの公園に向かった。
深夜0時を過ぎて
誰もいない公園のベンチに座った。
なんかすっげー寂しいな…
誰か俺を拾ってくれないかな。
もうすぐ結婚なのに、本気の恋をしたことがない情けない俺を。
その時
声をかけてきたのが
「捨て犬?」
涼子さんだった。
第一印象は、柔らかくて、でも勝ち気な人。
一緒にいる内に本当は違うって、わかってきたけれど。
「うん。お姉さんが拾ってくれる?」
「いいよ、その代わり……私に忠実なペットになってね?」
きっとこれは
涼子さんの心の闇を表した言葉で
「名前は?」
「雅斗」
「んー、じゃぁ、雅[ミヤビ]ね」
これは
似た傷を持った俺たちの、運命の出会いで
「何歳?」
「もうすぐ二十歳。お姉さんは?」
「何歳だと思う?」
ねぇ、涼子さん
あなたも知ってる通り
俺はロマンチストじゃないし
どっちかっていうと現実的なほうだけど
あなたとの出会いは『運命』以外の何物でもないと思う。
だって、傍にいるだけでこんなに救われる存在があることに気付けたから
*

