――――史斗へ


史斗がこの手紙を読んでるってことは、私はもうこの世にいないのかな?
少しでも史斗が悲しんでくれてるといいな、って少しわがままなことを考えてしまいます。


史斗は覚えてる?
あの丘の上で、『二十歳になったら結婚しよう』って約束したよね。
今までも今もずっと、あの約束は私の心の支えだったの。
早く私をあなたのものにしてほしかった
ずっとずっと、死ぬまで私を離さないでほしかった
あの時、あなたと手を繋ぎながら私はそう願ってたよ。


これを読んでる時、あなたにはもう大切な人がいるかもしれない
だから忠告!
史斗、あなたはもっとわがままになっていいのよ?
もっと、欲張りになっていいのよ?
欲しいものは欲しいって言っていいのよ?
人に遠慮してばかりのあなたを変えてくれる、そんな人がきっと現れるわ
そう、信じてる。


ねぇ、史斗。
約束果たせなくてごめんね
置いていってごめんね
傷つけてごめんね


愛してるわ
だから、あなたが迷った時
あなたの進むべき道を照らす星になって
私はきっと輝き続ける


生きる希望を与えてくれたあなたに
今度は私があなたに光を与える


私はロマンチストじゃないけれど
これだけは胸を張って言えるわ


『ずっとずっと愛してる』


さようなら



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