目が覚めたら、病院にいた。
あの瞬間。
トラックにひかれそうになった時。
美沙が俺を、押し飛ばした。
安全な場所へ
「う…あ…あぁ」
涙が止まらない。
また俺は、罪を犯してしまった。
「あぁ……」
あんな状況でも、こんな俺を守ってくれた美沙
俺は、自分のしたことが許せなかった。
それから3日後
美沙は亡くなった。
美沙の葬式に来た史斗は、人が変わったように冷たい瞳をしていた。
もう、前の明るく、クラスの中心にいるような史斗はどこにもいなかった。
史斗は、周りに壁を作るようになった。
話し終えた時、秋山さんはまた寂しそうに笑った。
「史斗は、美沙が俺と浮気したと思ってる。美沙に裏切られたと…
でも、違うんだ。史斗を裏切ったのは俺だけ。だから、アイツに憎まれるのは俺だけでいいんだ…」
史斗さんは、美沙さんに愛されていなかったと思ってるんだよね。
なら……
「言ってあげるべきです。美沙さんが史斗さんを好きだったこと」
好きな人に勘違いされたままなんて、亡くなった美沙さんが可哀想すぎるよ。
「協力しますから。だから、史斗さんに全部話してあげましょう」
「ありがと、姫乃ちゃん」
憎んでばかりじゃ辛いから。
史斗さんも、秋山さんも、美沙さんも……
救われる時は今だと思った。
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