美沙は、俺を抱き締めた。
「ごめんね、宏……好きだよ」
「俺も……」
好きの種類は違うけど、美沙も俺を大事に思ってくれてる。
それが嬉しかった。
その時。
カタン、と音がした。
その音のしたほうを向くと……
「史、斗……」
驚いた顔の、史斗がいた。
「史斗、違うのこれは……ッ」
「お前ら、二人で俺を裏切ってたのか……?」
「違……ッ!!」
「知らねぇよ、もう…」
そう言うと、史斗は去って行った。
「待って、史斗……!!」
史斗を追いかけようとする美沙を、また俺の腕の中に押し込める。
「行くな…」
好きなんだ、俺もお前が……
美沙はまだ抵抗していた。
そんな美沙を引っ張って、無理やり自転車置場まで連れて行き、俺の自転車の後ろに乗せて走り出した。
「どこに行くの?」
「…………」
「ねぇ、宏……!!」
誰もいないところへ。
美沙と二人だけでいられるところへ。
どこでもいいから……
俺は、必死で自転車をこいだ。
そして、道を渡ろうとした時……
キィーーッッ
*

