「そうか、よかった。壱斗は冷たく見えるかも知れないが、ほんとはいい奴だから」
う~ん…みんな冷たく見えるって言うけど…
「壱斗は優しいですよ?よく喋るしよく笑うし…」
私がそう言うと、お父様は黙って私を見てきた。
あ…、なんか悪いこと言っちゃったかな?
「ごめんなさい、あの…」
「本当か?」
私の言葉を、お父様が遮る。
……?どうしたんだろ?
「ほんとに壱斗が笑ってるのか?!」
今度は肩を掴んでグラグラされる。
「ほんとですよ?てか、お父様、苦しい……」
「あ、すまない…そうか、壱斗笑ってるのか…」
「え?はい…どうかしたんですか?」
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
はぁ…
あんなに取り乱して、今そんなにニヤニヤしてるのに?
気にするな?
ほんと変わった人達だな、この家の人達は……
「壱斗~、姫ちゃんの荷物部屋に運んであげなよ」
「あぁ、てか姫乃の部屋どこ?」
「どこって…、お前の部屋に決まってんじゃん」
「へ?俺はどこ行くの?」
「どこって……、なぁに馬鹿なこと言ってんの、壱斗くん。二人は同じ部屋、でしょ?結婚するんだから」
「「はぁぁぁぁぁ?!」」
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