「大丈夫?」
誰かに頬を叩かれて、目を開ける。
でも焦点が合わない。
頭がフラフラする。
「足、痛いー…」
「大丈夫。血が出てるけど傷は深くないから」
どうしよ、すごく眠くなってきた…
頭が働かない…
「怖がらないで大丈夫。もうすぐ救急車来るから」
誰だろ?この人…
すごく心地いい腕の中で、私は眠りに就いた。
「それだけなんです。彼について知ってることは。でもそれから、彼を忘れられなくて…」
「………」
「て、こんなこと言われてもですよね!なんかすみません!」
「いや…」
それから、なぜか壱斗は話さなくなった。
“無口”だって聞いてたから、そんなに気にはしてなかったんだけれど。
リビングの扉を開くと、麻生家の皆様が勢揃いしていた。
「おい、遅いぞ!二人とも何やってたんだよ!」
相変わらず騒がしい人だな、雅斗様は。
「食べようぜ!いただきま~す」
おいしい食事を終えて、みんなで談笑。
「姫乃ちゃん、うちの家族と壱斗を気に入ってくれそうかね?」
優しそうな、49歳には見えないほどカッコいいお父様が話しかけてくれた。
「はい!皆様楽しい人ばかりで!」
まぁ、多少怖い人(次男)はいるけど関わらなければ大丈夫!
.

