壱斗と別れて、教室に入る。
パッてみんなの目が私のほうに向いて
ヒソヒソと、話し声が聞こえる。
でも、もう気にしないんだ。
「姫乃!!」
「あ、美帆。おはよ」
「見たよ!壱斗先輩と…」
「あ、うん。そうなの。戻ったんだ」
「ひ、め……」
大きな瞳から、涙が一粒零れ落ちる。
そうだよね。
すごく心配かけたもんね。
「ありがとね?美帆…」
「うぅ…よかったぁ…ッ」
「うんッ」
こんなにいい親友がいて
一番大好きな人の傍にいれて
なんだ私、すーっごく幸せじゃん。
「美帆、大好き」
「何言ってんの、私のが姫乃のこと好きだよ!!」
「俺のが好きだよ」
……………
「い、壱斗?!?!」
な、なんで壱斗がここにいるの?!
なんか女の子のキャーキャー言う声が聞こえたと思った……
し、しかもみんなの前で“好き”って、好きって……
「壱斗先輩、姫乃一人で違う世界行っちゃってるんですけど?」
「ハハ、可愛いね?」
「………」
なーんて、壱斗と美帆が話してるのも聞こえてなかったり。
*