「すいません。検査前で食事制限もあって余計なものは置いてないんです」

「もう帰りますから。ほんとにお構いなく!」

「まぁ、そう言わずに。のど渇いてないですか?良かったらこれ飲んでみてくださいよ」
遠藤さんはスポーツドリンクのようなものを私に差し出した。

断わるのも失礼なので、飲んでみた。

「……う」
ものすごく酸っぱい。口に含んだ分は何とか飲み干した。

「やっぱりキツイですよね?」
遠藤さんはいたずらっぽく笑った。

「いえ……あの、その、ごちそうさまです。
すいません。あの、私酸っぱいのは苦手で。
あの、でも、美味しいです」
そう言って再び飲もうとした。
せっかく遠藤さんが出してくれたのだから残すなんて失礼だ。