「あ！ そうだ！」
途切れた会話の沈黙を破って、遠藤さんが大きな声で言った。

「斉藤さん、もう少し時間ありますか？」
私は黙って頷くことしか出来なかったが、遠藤さんは笑顔でエレベーターまで案内してくれた。

エレベーターで遠藤さんと二人きり。
私の全神経は遠藤さんに集中していた。

「私ね、ここの最上階の部屋に入院してるんですよ。ここ最近で一番の贅沢です」
無邪気に笑う遠藤さんが微笑ましい。

あっという間に最上階の７階に着いた。