「え?! 遠藤さんて? あの遠藤さん?!」

「…は? はい」


私は動揺して余程大きな声を出してしまったんだろう。彼女が引き気味にうなずいたのがわかった。

「遠藤さん、どこか悪いんですか?」

「あれ? 知りませんか? こないだの健康診断で引っ掛かって……」

「知りませんでした」


社内の情報を私だけが知らないなんてことは珍しいことではなかった。

お昼ご飯も一人で食べているし、
誰か居るときは給湯室もトイレも行かない。
必要最低限のコミュニケーションだけ。
誰かが私に話しかけることもない。