箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 遺伝子を学んだ者として、好奇心が先走っていたマークは現実に直面し、いかに己の考えが愚かで浅はかだったのかを身をもって知った。

 人道的なんてレベルじゃない──マークは視察を終えて帰りのヘリの中、ただ黙ってそれらを考えていた。

「普通の遺伝子研究してた学生時代の方がはるかに楽だったよ」

 本物の人間の遺伝子を使った実験が成功した結果がこれだ。

「そりゃあ考えたことはあったさ。でも、想像と現実は全然違う」

 ベリルはもう成功例なんかじゃない。

「僕の──友達だ」

 口の中でつぶやき、鋭く宙を見やった。