それから一年後、十歳となったベリルを一人の男が怪訝な表情で見下ろした。
「こんな子供に?」
少ない自由時間を過ごす部屋に案内された男は、三十代後半と思われる精悍な顔立ちに色あせた金色の髪、深い海の瞳をベリルに向けて眉間のしわを深く刻む。
「よろしくお願いします」
歳不相応の感情の見あたらない表情に丁寧な物言いは男の違和感を誘う。
そんな少年に促されるように向かったのはトレーニングルーム、数々のマシンや格闘するための畳が敷いてある。
今日は顔合わせだけだと聞いている。
どのような機材があるのかもチェックしろという事なのだろうか。