──十五年を過ごした施設は静まりかえり、人の気配はまるで感じられない。

 微かに感じていた電子音も消え、少年の足音だけが小さく響く。

 何をいくら反芻しても、侵入された時点でこちらの負けは決まっていた。

 気付くのが遅すぎた。

 どう考えても、施設についてよく知る者が相手にいたとしか思えなかった。

 しかし、それを確かめる術もベリルにはない。

 ブルーたちがどうなったかを知っているはずなのに、足は自然とそちらに向かう。

 そうして、その現実を眼前にして声もなく立ちつくした。

 痛む胸を押さえ、逃げてはならないのだと目を開く。

 ここに、何人がいたなんて解るわけがない。