「関係ない、ね…」

なぜ凌太がそんな悲しそうな顔をするのか、優梨子には分からなかった。

「とりあえず、離して。痛いから」

と、いうのはウソでホントは痛くなんかない。

凌太は軽くしか握っていないんだから。

ただ、これ以上触られていると、どんどん欲が出てきてしまいそうで怖かった。

「そいつは残念だが、聞けねぇ願いだなぁ。本当は痛くなんかねぇんだろ?」

凌太がニヤリと笑えば、優梨子の心も乱れる。

そんな顔、目の前でやるなんて反則。

と、言ってやりたくても言えない。

そんな優梨子を更に追い詰めるかのように、肩まで伸びた黒髪に手を挿し込まれ何度も指で梳かれた。