思わず声をあげたのは、目の前の光景がとても信じられなかったから。
両手で口を押さえたあたしの前で、社長はソムリエナイフを取り出すと、くるくる器用にボトルのフィルムを切り取り……そして栓を抜いた。
「え……あのっ……開けたら写真撮影が……空瓶じゃ……」
あたしの動揺っぷりが相当可笑しかったのか、ぷっと笑うと、こともなげに言う。
「何で?別にいーじゃん」
せっかくお目当てのワインが見つかったというのに、これではまた最初からやり直し。
さっきまでの安心感はすっかりどこかへ消え、一気にがっくりとしてしまったあたしに社長は言った。
「そう落ち込むなって。ほら、そこの棚からグラス持ってきて」
「……はい」
分厚いガラス製の扉のある棚の中にはキラキラと輝くクリスタルグラスが並んでいる。
その中の一つを手に取ると、
「二つ持って来いよ~」
と言われ、慌ててもう一つのグラスを用意する。
万が一落としたりしたら……そう思うと余計に力が入ってしまい、両手がぷるぷる震えていた。

