社長の事を見ていたら、心配は尽きない。
雑誌のインタビューでも結婚願望はないと公言しているし、スキャンダルの相手は美女ばかりの面食いでもあるし。
だからあたしと社長との距離は変わらないだろう。
気まぐれの遊び相手、それで十分。
それでもチャンスがあるならここにいよう。
それは社長が教えてくれた事だ。
いつだって、自分の望む未来に向かって足を止めない事。
そうして彼は今の地位を手に入れた。
それなら……彼を好きになった気持ちをちゃんと認めて、引くこと無く歩いていかなければいけない。
それが、きっと彼の隣にいるという事。
彼女とか結婚とかそんな言葉には惑わされず堂々としていよう。そう決めたら急に気持ちが楽になった。
携帯を取り出すと、メールを一通作る。
【次の取材はフランスの……です。また飲ませて下さい】
そして数時間後。
同じ職場に戻ったあたしの携帯が震えた。
【いいよ。またお前の事も飲んじゃうと思うけど】
社長らしいおどけた返事に、あたしはそこがオフィスだという事も忘れて赤面した。
【END】

