翌朝。
目が覚めると、そこは彼のベッドだった。
二人で寝ても、十分過ぎる広さのベッドの隅にあたし一人。
忙しい社長の姿はもうそこには無い。
あるのはただ、木製のサイドテーブルに残された一枚のメモ書きと、封の開いていないワインボトルだけ。
二つに折りたたまれたメモを開こうとして一瞬躊躇する。
「昨日の事は忘れるように……」
そんな事が書いてあったら、ちょっと切ない。
悪い予感を消すように首を振ると、思い切ってメモを手に取った。
すると、そこには、
【次の取材のワインは何? 飲ませてやるから連絡しろよ】
あまり上手では無い字で書かれた便箋を、思わず抱きしめる。
照れ屋で、中々思った事を口にしないツンデレ社長らしい一文に思わず顔が緩む。
またここに来ていいんだという嬉しさと、まだ終わらないでいいんだという安心とでいっぱいになった。

