「私は……」 「今も、ホントは早くここから逃げ出したいんだろ? 困った顔してる。」 「違う!」 「俺のこと好きじゃないのに迷惑だったよな。」 違う……。 迷惑なんかじゃない……。 好きじゃなくなんかない……! 「じゃあな。気を付けろよ。」 行かないで……。 環方くん 環方くん!! 「……き……」 環方くんは本棚の角で私の微かな声に気付いて止まった。 違う……。 今言うつもりないのに……。 「……す……き……」