連れてこられたのは、 いつもの場所。 図書室の手前の読書スペースでは古本市が催されていたが、 誰もいなかった。 環方くんは、いつもは環方くんが座るフカフカのソファーに私を座らせた。 「大丈夫?」 もう一度同じことを聞かれる。 私は頭をブンブン縦に振った。 多分私がこんなに泣いてる理由は、 男が気持ち悪かったっていうのもあるけど、 環方くんが助けてくれたことの方が大きい。