センセイの白衣

前期の二次試験が終わって。

登校日に、久しぶりにあっきーと会った。



「明日、合格発表だよねー。」


「わー、ドキドキする!」



私の場合は、受かるかどうか、というよりは。

落ちたらどう説明しよう、っていう方向で緊張していた。


センター試験がよかったのに、N大に落ちるって。

二次試験があまりにもできなかった、っていう意味だから。


あれだけ川上先生に特訓してもらっておいて。

しかも、絶対落ちない、なんて自信満々なことを言ってしまって。

それで落ちたりしたら、今度こそ川上先生に嫌われてしまう。


私はその日、どうしてもしたいことがあった。

それは、川上先生と写真を撮ること。


卒業式の日に撮るのが普通なんだろう。

だけど。


卒業式の日は親もいるし、川上先生と写真を撮るなんて絶対に無理。

それに―――


私は、白衣の先生と写真を撮りたかったんだ。

かしこまったスーツじゃなくて。


もちろん、どっちの川上先生もかっこいいけど。



私にとって、先生の白衣は特別だったんだ。




「あっきー、そういうわけなんだけど、協力して!」


「いいよー。」



そんなわけで。

私は、あっきーと一緒に職員室に行った。

他の先生に見られても、もう卒業だから気にしない。



「川上先生!」


「なんだ。」


「晴子が、写真撮りたいって。」



晴子、のところを強調するあっきー。

おかげで、私は吹き出しそうになる。



「写真?卒業のときじゃなくて?」


「うん。……白衣の先生がいい。」



そう言うと、先生はちょっと笑って立ち上がった。



「どこで撮るの?」


「どこでもいいです。あ、図書室とか。」



人目につかない図書室なら、安心して撮れる。

そして、先生とあっきーと一緒に図書室に行った。



「ハイ、チーズ!」



パシャ。



先生が、あんまり近くに立つから、私はずっとドキドキしてた。



「あっきーはいいの?」


「え?私はいいよー。」



ひどい。

あっきー、ひどい。


傷付いた顔をした先生が、苦笑いする。



よかった。

でもこれで。

白衣の先生。

きっと、卒業アルバムにも載ってない、白衣の川上先生を。

私の手元に、残しておけるんだ―――



「あ、横内。」



先生は私を呼びとめて、ケータイの番号を教えてくれたんだ。



「合格したら連絡しろ。俺、メールは苦手だから。」


「はい。」



嬉しかった。

受かって当たり前、じゃなくて。

ちゃんと私のことも、心配してくれる川上先生が。


それに、思いがけず先生の番号を知ってしまって。


だけど、きっとその一回しか、かけることはないだろうな。

この先、何があったとしても。

先生に頼ることは、もうできない。


だって、私は卒業してしまうんだから―――