センセイの白衣

そして。

ついに迎えてしまった、最後の日。

私が、この生物講義室に来られる最後の日。


明日は、大学の二次試験だから。

それが終わったら、もうここへ来る用事はなくなってしまう。

先生に教わることは、もう何もない―――



朝から、特別な気持ちだった。

夕子と一緒に生物講義室のはじっこで。


最後まで付き合ってくれた夕子には、本当に感謝。



「ねー、はるちゃん、グミ食べる?」


「うん、食べる。」



頷くと、夕子は面白いグミを取り出した。

ひもみたいになっていて、すごく長い。

途中で味が変わるんだ。

それを見て、笑いが止まらなくなってしまった。



「何それっ、夕子、面白すぎるんだけど!」


「ふふ。」



ちょっと不思議な子、夕子。

私に、長いグミを渡してくれた。

そして、自分も、同じ種類のグミを出して、片方の端を咥える。


二人で顔を見合わせながら、くくく、って笑っていたときだった。


がらっとドアが開いて、入ってきた川上先生。

私は、心臓が止まりそうになる。

夕子と共に、慌ててグミを隠した。

生物講義室は、一応飲食禁止だから。



「お前ら、今なんか隠しただろ。」



吹き出しそうな表情で、先生が言った。



「別にー。」



夕子と声を合わせて言ったけれど。

あまりにも面白くて、笑いが止まらなくなってしまった。



「なんだ。」



先生が近付いてきて。

観念して、二人でグミを伸ばして見せた。



「先生も食べますか?」


「っばか!!!いらんわ!」



そう言いながら、ぱしっと頭をはたかれた。

全然痛くない。

その優しさに、笑いながら、泣きそうになった―――


今日で最後なんだって。

そう思って。