「あ、あのね、陽樹。あたし・・・」
「姉ちゃんは、夢を見てたんだよ。」
陽樹の声が妙に重たくなった。
「・・・なーんて。会いに来たんでしょ?“アヤ”に。」
また・・・あたしだけ知らない。
みんなみんなアヤのこと知ってるのに、あたしだけ知らないの。
あたしが一番アヤのこと好きなのに・・・。
「アヤに会いたくて、もうずっとアヤにっ」
涙が零れた。
「うん。アヤに会わせてあげるよ。ついてきて。」
陽樹があたしの手を引いた。
連れてかれた病室の前に、ひとりの名前。
「“吉岡 綾人(ヨシオカ アヤト)”・・・?」
ヨシオカ アヤト。
その名前をひとつひとつ噛み締めるように音にする。
「アヤ・・・」
アヤ、綾人はここにいる。
目を閉じて深呼吸。ゆっくりと扉をひいた。


