おためし彼氏の5日間。




「あ、あのね、陽樹。あたし・・・」


「姉ちゃんは、夢を見てたんだよ。」


陽樹の声が妙に重たくなった。


「・・・なーんて。会いに来たんでしょ?“アヤ”に。」


また・・・あたしだけ知らない。


みんなみんなアヤのこと知ってるのに、あたしだけ知らないの。


あたしが一番アヤのこと好きなのに・・・。


「アヤに会いたくて、もうずっとアヤにっ」


涙が零れた。


「うん。アヤに会わせてあげるよ。ついてきて。」


陽樹があたしの手を引いた。


連れてかれた病室の前に、ひとりの名前。


「“吉岡 綾人(ヨシオカ アヤト)”・・・?」


ヨシオカ アヤト。


その名前をひとつひとつ噛み締めるように音にする。


「アヤ・・・」


アヤ、綾人はここにいる。


目を閉じて深呼吸。ゆっくりと扉をひいた。