案内されたその部屋に入ると、男の人がイスに座っていた。
逆光でよく見えない。
やっぱり、お父さん・・・?
男の人は立ち上がって、こっちに近づいてきた。
「あ・・・」
「姉ちゃん。久しぶり。」
優しく笑ったその人は、紛れもなくあたしの弟だった。
「陽樹(ハルキ)・・・」
「もう何年も会ってないから、なんか不思議な感じだな。」
陽樹は笑った。相変わらず、あんな両親に育てられたとは思えないほどいい子。
「元気にしてた?ごめんね、いろいろと・・・」
家を病院を押し付けて逃げたこと、連絡を経ったこと、たくさん謝りたいことがあった。
「俺のこと心配してくれてんの?俺なら大丈夫だよ。病院継ぐこと、別に嫌じゃないし。」
「うん・・・ごめんね、あたしが勉強できなかったから・・・」
「そんなこと気にして出てったの?」
「まぁ・・・」
「父さんも母さんも、本当は心配してるから。そのことだけはわかっててほしい。もちろん、俺はいつだって姉ちゃんの味方だし。」
「ありがとう、陽樹・・・」
「うん。たまには帰ってきてよ。まぁ、家にはほとんどいないからあれだけど。」
陽樹は苦笑した。つられてあたしも笑う。
そこであたしはハッとした。


