おためし彼氏の5日間。



案内されたその部屋に入ると、男の人がイスに座っていた。


逆光でよく見えない。


やっぱり、お父さん・・・?


男の人は立ち上がって、こっちに近づいてきた。



「あ・・・」



「姉ちゃん。久しぶり。」


優しく笑ったその人は、紛れもなくあたしの弟だった。


「陽樹(ハルキ)・・・」


「もう何年も会ってないから、なんか不思議な感じだな。」


陽樹は笑った。相変わらず、あんな両親に育てられたとは思えないほどいい子。


「元気にしてた?ごめんね、いろいろと・・・」


家を病院を押し付けて逃げたこと、連絡を経ったこと、たくさん謝りたいことがあった。


「俺のこと心配してくれてんの?俺なら大丈夫だよ。病院継ぐこと、別に嫌じゃないし。」


「うん・・・ごめんね、あたしが勉強できなかったから・・・」


「そんなこと気にして出てったの?」


「まぁ・・・」


「父さんも母さんも、本当は心配してるから。そのことだけはわかっててほしい。もちろん、俺はいつだって姉ちゃんの味方だし。」


「ありがとう、陽樹・・・」


「うん。たまには帰ってきてよ。まぁ、家にはほとんどいないからあれだけど。」


陽樹は苦笑した。つられてあたしも笑う。


そこであたしはハッとした。