休憩時間は休んでいる間に溜まっていたことが多すぎて、中々二人に会いに行くことができなかった。
結局放課後・・・。
前みたいに一緒に帰るかどうかもわからないのに、私はいつものように校門の入口で二人を待っていた。
「・・・あれ?
吉野さん?」
聞き覚えのある声に名前を呼ばれてバッと顔を挙げて見る。
目の前には笑顔の瀬戸口くんと、隣には驚いた表情をした水嶋がいた。
「吉野さんもう学校に来てたんだ?」
「う、うん。
今日から・・・」
「そっかー」
まさか本当に来るとは思っていなかったから、私も少し動揺してしまった。
「でも良かったよ。
またこうして吉野さんの顔が見れて」
「そ、そう」
いつにもましてまぶしいくらいの笑顔を見せてくれる瀬戸口くん。
くっ、直視できない!
今までにないくらいまぶしい!
なんだ?
今日は復帰のスペシャルバージョンとか!?
・・・なんてことあるはずもないけど。
私は恥ずかしくて瀬戸口くんから目を離し、隣に呆然とつっ立っている水嶋に目を向けた。
バチッと目と目が合う。
するとズキズキと淡い痛みが胸あたりに走った。
な、なんだろうこれ?
感じたこともないような痛み。
どうしたのだろというのか?
「ねぇ、真尋も吉野さん戻ってきてくれてうれしいよね?」
な、なんちゅーことを爽やか笑顔で言ってるんだこの人はー!
そこ水嶋にふる!?
絶対素直に答えないよ!?
いや、たぶんだけど!
でもなんか嫌味言われそうじゃない!?
「・・・・」
なんで水嶋黙ってるのさ!
早くなんか言ってよ!?
「・・・まぁ、良かったんじゃねぇの」
私と視線を合わせずそっぽを向いていう水嶋。
あれ、嫌味じゃない・・・。
私の考えすぎだった?
てか良かったんじゃねぇのって、”嬉しい?”の答えになってないんじゃ・・・。
「・・・何笑ってんだよ」
「別にー」
でも私はなんだか嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「あっ、ねぇまたラムネ飲みに行こっ!」
笑顔で言う瀬戸口くんは、まだ私も水嶋も何も言ってないのに、お店へ向かう道の方に先々と進んで行ってしまった。
「たくっ。
あいつは・・・」
「ふふ。
瀬戸口くんのあぁいうマイペースなとこっていいよね」
思わず笑う私を、水嶋がジッと見てることに気づく。
「な、何?」
「いやー?
まだ貴斗のこと好きなのかなーって」
「は、はぁ!?」
急にそんなこと聞かれて冷静に「はい、そうです」なんて答えれるほど私は可憐ではない。
「な、何で・・・!?」
「いいから。
好きなの?」
「うっ・・・」
何でそんな真剣な顔して聞いてくるのかわからないけど、答えるには答えとこう・・・。
「好き・・・だと思う」
「ふーん」
ちょっ、答えたのにふーんっていう反応はなしでしょ!
キッと睨むと水嶋は面白そうに笑いながら
「じゃあどっちが先に叶うかだな」
「え?」
なんのことかよくわからなくて、詳しく聞こうとした時
「さ、ラムネラムネー」
と逃げられてしまった。
「もうっ」
ま、いいか。
またいつの日にか聞こう。
「夕日、キレイ・・・」
夏も終わるそんな頃。
私の恋は複雑になりながらも、まだまだ続いていく・・・・。
END