「ぐらいかな」
「危な!
ぐらいかなって、よく笑ってられるね!
もうちょっと危機感とか持ちなよ!」
「え!?
前っちゃんが何に怒ってるのかよくわからないんだけど…」
「全部だよ、全部!
吉野をそんな危ないめに合わせた奴にもだし、それを気にしないで笑ってる吉野にもだし、一番は…。
そんな吉野のすぐ側にいたにも関わらず、気付けなかった自分に一番イラついてる」
「前っちゃん…。
言わなかった私も悪いんだからさ、あんまり自分を攻めないで?」
「…吉野は優し過ぎるんだよ。
まぁ、そんなあんただから好きなんだけどさ」
「前っちゃん!!」
バッとイスから立って、照れくさそうに頬をかく前っちゃんが可愛すぎて思わず抱きしめようとした瞬間。
運悪く昼休み終りのチャイムが鳴ってしまった。
「次掃除だね。
場所違うからあれなんだけど、十分周りには気をつけなよ!」
そう言い残して、前っちゃんは私に抱きしめられることなく、掃除場所に向かってしまった。
くそ。
恨むぞ、チャイム。



