水嶋に助けられた次の日。
「吉野、大丈夫!?」
学校に着くと真っ先に前っちゃんが抱きついてきた。
「ま、前っちゃん!?」
「ごめん!
まさか昨日に限って襲われるとは思わなかったよ!
やっぱり一緒に帰ってればよかった・・・」
ギュッと抱きしめる腕に、力がこもる。
「前っちゃん、心配してくれてありがとう。
でもこうして無事なわけなんだし、もう大丈夫だよ」
水嶋に追い払ってもらったわけだし。
「ホントに?
どっかケガとかしてない?」
体を引き離すと、前っちゃんは眉を下げて私の体を見回した。
「大丈夫。
でも、どうして前っちゃんがそのこと知ってるの?」
私はまだストーカーに襲われただなんて一言も話してない。
まぁ、今日話すつもりでいたから説明に手間が省けて助かるけど。
「あぁ、水嶋から連絡があったんだよ」
「水嶋から?」
「そっ。
吉野が襲われてたところを見つけてなんとか助けたけど、次もあるかもしれないから今後も気をつけてくれって」
気をつけてくれって、前っちゃんじゃなくて私に言うべきなんじゃ・・・。
「やっぱ水嶋っていい奴だよね。
・・・それでも吉野はまだ嫌い?」
「いや・・・」
嫌いじゃない。
そう、嫌いじゃないんだ・・・。
「じゃあ好き?」
「・・・友達としてなら、たぶん」
「たぶんて…。
ま、結構吉野の中の水嶋も出世したね」
「何それ」
ハハハと二人して笑い合う。
実際のところ、私は今水嶋のことをどう思っているんだろう・・・?
自分でもよくわからなかった。