次の日の放課後、校門に出ると本当に瀬戸口くんと水嶋が待っていた。


「ごめん、待たせた?」


駆け寄って息を整える。


そんな私に瀬戸口くんは笑顔で


「大丈夫、僕も真尋も今来たとこだし」


なんて優しいこと言ってくれるから、心臓はずっとドキドキしっぱなしだ。


「それにしても今日からずっとこの三人で一緒に帰ることができるなんて、何か不思議だね」


歩きながら右隣でくすくすと笑う瀬戸口くん。


そして私の左隣にいる水嶋が


「まぁ、こいつがどうしても三人がいいって言うからさ」


なんて何気なく笑って見せてるけど・・・。


あれ、私三人で帰りたいなんて言いましたっけ?


そもそもあんたが女子避けのために私を誘ったんでしょ?


で、私は瀬戸口くんも一緒に帰るからということで了解を得た。


つまり、何私のせいにしてんだって話し。


水嶋は一体瀬戸口くんにどういう説明をしたんだろうか。


「そっかー。
まぁ、男一人より二人の方が心強いもんね。
なんかあったらすぐに言ってね、吉野さん!」


「え、何かって・・・?」


「え?
だってストーカーに狙われてるんでしょ?」


「ス、ストーカー!?」


何それ!?


初耳なんですけど!


すぐにこの話が水嶋によってでっち上げたものだと気づいた。


ギロッと鋭く隣を歩いている水嶋に視線を向ける。


「あっれー。
何でそんなに睨んでくるのかなー?」


昨日までみたいに変な猫かぶりをして笑顔でいる水嶋に、私は小声で


「何、ストーカーって。
瀬戸口くんにどういう説明したのよ!」


睨みつけたまま問う。


もちろん、瀬戸口くんには気づかれないように。


「どういうって、そのまんまだけど?
お前がストーカーで困ってるから、俺と一緒に帰ってくれねぇかって」


「何で私がストーカーなんかに付け回されてる設定なのよ!」


「その方が誘う理由にはちょうどよかったんだよ」


「何がちょうどよ。
明日ちゃんと訂正して・・・」


「吉野さん」


「は、はい!?」


小声で水嶋と喋っていたところに、突然瀬戸口くんに名前を呼ばれてびくっと体が反応して声も裏返ってしまう。


「ぷっ。
焦りすぎ」


さっきのを水嶋にしっかりと見られていて、笑われてしまった。


恥ずかしい・・・。


そんなことを思いながら、なんだろうと瀬戸口くんの方を向く。