で、校門に着いたはいいものの・・・。
「ねぇ、一緒に帰ろうよー」
まるで駄々っ子ように私の腕を離さず、一緒に帰ろうとずっと言っている。
これが瀬戸口くんだったら即OKなんだけど・・・。
ん?
待てよ?
水嶋って私が瀬戸口くんのこと好きなの知ってるよね?
ていうか、協力してあげようかって言ってたよね?
これは協力というより、むしろ邪魔してるんじゃ・・・。
まぁ、協力はいらないって言ったからあれなんだけど・・・。
でも邪魔するのもどうかと思うよ!?
さっきからずっと黙ったままの私を気にしてか、水嶋が顔を覗き込んできた。
「うわっ!?」
「あ、反応した。
もしかして立ったまま寝てるんじゃないかと思った」
「なっ!」
文句を言おうとしたところで、水嶋が笑ったのに見とれてしまい、出かけた言葉を堪える。
いや、言い方が悪かった。
正確的にはビックリした。
いつもはなんだかむりやり作ったっぽい笑顔をするくせに、今の笑顔は自然なものだと思ったから。
「ふーん、普通に笑えるじゃん」
「え?」
「いつも作り笑顔だけど、今のは自然体でいいと思うよ。
てか、無理に笑顔作るんだったら、笑わなければいいのに」
「・・・俺の笑顔が作ってるのだって気づいてたんだ?」
「うん」
答えると、水嶋は顔を下に向けてしまった。