明日瀬戸口くんを誘って帰えろう。
そう思いながら、後一歩で校門から出ようとした時。
「ねぇー、水嶋くん、待ってー!」
「今日こそは私たちと遊んでくれるんでしょ!?」
「今日も用事があるんだ!
ごめん、また今度ね!」
「また今度っていつよー!」
校舎の方からわらわらと出てくる人たちがいた。
さっき水嶋って聞こえたんだけど、まさかあの集団…。
女子を後ろに群がらせながらこっちに向かってくる水嶋と目が合ってしまった。
「あっ!」
目が合った瞬間水嶋は笑顔になった。
反対に私は嫌な予感がした。
「吉野さん、お待たせ!」
「いや、待ってないから」
「何言ってんの。
今日一緒に帰るって言ったじゃん」
その一言で一斉に女子の目が私に向く。
「あんたこそ何言ってんの?
私今から帰るとこなんだけど」
「もー、怒ってるの?
ごめんって!
一緒に帰ろうか」
「はぁ!?」
ゆうむも言わせない内に、水嶋は私の腕を取って早足にこの場を後にした。
女子の視線が痛いほどに背中に刺さっていたような気がする・・・。



