「結局俺に用事って何だったの?」


「え、いや、何でもない!
もう済んだことだから気にしないで!」


「そう?」


「うん」


並んで帰りながらいろんなたわいもない話をした。


瀬戸口くんはずっと楽しそうに笑っててくれた。


私が1人で思ってることだけど、何だかこういうの…。


「デートみたいだね」


「え!?」


照れつつはにかむ隣の瀬戸口くん。


何その顔。


私をキュン死にさせる気ですか!?


ていうか、デートみたいって私も思ってたところに瀬戸口くんのあの言葉…。


あなたはエスパーですか!?


「こうやって女の子と二人で帰るのは初めてなんだ」


「瀬戸口くんも?」


「゛も゛ってことは、吉野さんも?」


「うん、まぁ…」


ハハハと苦笑いしながら片手を頭の後ろに回す。


そっか、瀬戸口くんも初めてなんだ。


何か嬉しい。


「だからちょっと緊張してるんだけど、俺変じゃないよね?」


「ぜっ、全然変じゃない!
ていうかいつも通りだと思ってた!」


「そっか。ありがとう」


来た。


瀬戸口くんの爽やかスマイル!


あー、もう。


私浮かれちゃいそう。


緊張してるってことは、ちょっとでも私のこと意識してるってことだよね!?


うわー、ヤバい。


今絶対顔真っ赤だ。


「七音(ナナト)?」


「え?」


右から名前を呼ばれて向く。


目の前には玄関からちょうど出てきたのであろう、母親と、私の家があった。