大嫌いだったあいつと




けど、すぐ足取りは重くなった。


なんで・・・。


「で、ここをこうしたら・・・」


「キャー!すっごーい!やっぱり水嶋くんは絵が上手いね!」


「俺よりうまい人はまだまだたくさんいるけどね」


「そうやって自慢しないところもまた素敵!」


美術室の端で女子に囲まれ騒がしい空間があった。


「今日用事があるっていうのは部室に出るためだったのね!」


「まぁね」


マジすか。


群がってる女子たちとカラオケでもなんなりとどっか行けばよかったのに・・・。


水嶋を見るだけで自分の黒い感情が出てしまう。


ダメだ、ダメだ!


水嶋なんか視界に入れるな!


私が視界に入れたいのは瀬戸口くんだけだ!


「あれ、吉野さん!」


「あ、瀬戸口くん」


向こうから気づいて、近づいて来てくれた。


「どうしたの?
放課後に美術室に来るなんて始めてだよね?」


「えっ、えっと!」


あぁ!


瀬戸口くんの前だと変に意識してテンパる!


「あっ、もしかして」


え!?


もしかして会いに来たことバレた!?


「真尋に会いに来た?」


「・・・え?」


え、何言っちゃってんですか、瀬戸口くん。


真尋って水嶋真尋のことだよね?


何で私があんな奴にわざわざ会いに来なきゃいけないわけ?


てか会いたくもないんだってば!


「・・・あれ、吉野さん?」


「違う・・・」


「え?」


「私が会いに来たのはあいつじゃない!
私は瀬戸口くんに会いに来たの!」


感情が高まってつい大声を出して言ってしまった。


すぐ我に帰って、サーと青くなる。


「えっと、今のは・・・。
・・・ごめん」


「あ、いや、俺が悪かった。
ごめん」


「・・・・」


「・・・・」


変な沈黙が二人の間に続く。


さっきまで賑やかだった部室全体も一気に静かになった。


「ご、ごめん、私帰るね!」


「あっ、吉野さん!?」


力の余す限り勢いよく部室から思いっきり走って逃げた。


恥ずかしい!


もう死んでもいい!


泣きたくなる思いでいっぱいだった。