大嫌いだったあいつと



「えっと、瀬戸口くんは・・・」


あ、いた。


前から二番目の席で机にうつ伏せになっていたけど、なんとなくわかった。


「瀬戸口くん!」


教室の外から名前を呼んでみる。


寝てたら申し訳ないけど・・・。


瀬戸口くんには聞こえなかったみたいで、彼の近くにいた男子が瀬戸口くんの肩を揺すっていた。


「あ、れ・・・?
吉野さん?」


私に気づいた瀬戸口くんはガタっとイスから立ち上がり急いで近づいてきた。


また心臓がドキドキする。


近づくときガンって前の人の席に腰を打ってたけど・・・。


「だ、大丈夫?」


「う、うん。
それより、何で吉野さんがC組に?」


「あっ、えっと、前っちゃんに瀬戸口くんのこと聞いて・・・」


「前っちゃん?
あっ、前本さんのことか!」


「うん。
あのさ、私別に瀬戸口くんのこと避けてるとかじゃないから」


「え?」


「ちょっと私今日すごいクマができちゃってて、なんか会うのが恥ずかしかったっていうか、その・・・」


「そういえば、顔色悪いね。
大丈夫?」


腰を曲げて、グッと顔が近づく。


「え!?
だ、大丈夫!」


「ホント?
保健室行った方がいいんじゃ・・・」


「大丈夫大丈夫!
私こう見えても結構タフな方だから!」


「そう・・・。
無理はしないようにね」


「う、うん」


顔の距離を戻して、瀬戸口くんは目を細めて笑った。


その笑顔にもドキドキする。


さっき顔近づけられた時、心臓飛び出るかと思った・・・。


「じゃ、じゃあ私教室戻るね!
本当に避けてないから!嫌いじゃないから!
あ、後おはよう!」


それだけ言い残して、自分の教室に戻った。


もう、こんなんじゃ全然心臓持たないよ!