「きゃああぁぁぁ!!」


「王子が来たわよ!」


「あぁ、いつ見てもうっとりするわー」


「ホント、顔も良くて性格も良くて、頭もいい。
運動神経も抜群。まさに完璧男子だわ」


廊下にいた女子が一斉に黄色い声を上げて一人の男子の元にわらわらと集まっている。


「おはよう、可愛い姫君たち」


無駄にキラキラしてて、わらわらと集まって来た女子たちを姫君なんて言う。


私にはむしずが走る言葉だ。


「ねぇ、今日放課後一緒に遊ばない?」


「ごめん、今日は用事があるんだ」


「えぇー、毎回そんなこと言って遊んでくれないじゃなーい」


「今度ちゃんと埋め合わせするよ」


「ホント?約束よ?」


「うん」


そんな会話をして女子たちはこの場から散っていく。


正直言って毎回廊下を塞がれるから大迷惑だ。


きっと男子だってそう思ってる。


けどそんなこと言ったらただの僻みだと思われるみたいで、言えないでいるらしい。


情けない。


女子が散った後、彼は私がいる方向に歩いてきた。


にっこりと笑う彼に、睨み返す私。


私はこいつが大っ嫌いだ!